先月、漫画『二月の勝者 絶対合格の教室』の21巻が発売。この巻をもって完結となりました。
「二月の勝者っていう漫画があって、四谷大塚が渋谷大崎になってるらしい!」と、娘が塾で話を聞いてきて、一緒に爆笑して。こっそり私だけ一気読みしてるうちにドラマも始まって、娘も漫画読むようになって「一緒に2月を迎えられるのかも」などと言ってた、あの頃から3年。
あの頃
「二月の勝者」漫画:リアル小学6年生親の読み方、今後の予想(ネタバレなし)│まわらないドットコム (mawaranai.com)
私たちだけがコロナ禍での受験を終えて。
漫画の中はコロナがなかったパラレルワールドになっちゃって
【中学受験】どんどんリアルから離れていく、漫画『二月の勝者』【悲しみ】│まわらないドットコム (mawaranai.com)
直近の感想はこんな感じになっていました。まあ、クレーマーですわ。
【中学受験】二月の勝者18巻感想①―こんなリアリティはいらない【涙】│まわらないドットコム (mawaranai.com)
【中学受験】二月の勝者18巻感想②―こんな入試日程はイヤだ│まわらないドットコム (mawaranai.com)
※ところで上記の記事で、島津くんのことを「島袋」くんと誤記しておりました。謹んでお詫び申し上げるとともに訂正いたします。自分がポンコツすぎるorz
色々言いたいことはあれど…
正直にいうと18巻を読み終えたとき、「もう読むのやめようかな…」と思ったんですよね。
実際、上記の18巻の感想にも、これからはネタバレサイト読めばいいか的なことを書いてました。もう、開成落ち繰り上げ展開が見えてたし。そんな展開望んでなかったし。
それでも結局、息子の受験の合間に癒しを求めて、19、20巻と電子書籍買って読んだのですが、感想は「【中学受験】結局、「二月の勝者」とは誰のことだったのか【19巻レビュー】」というタイトルだけの下書きで止まってました。(19→20でつながってたから、19巻時点では書けないなと思ってるうちに忘れてた)
うん。21巻でちゃんと分かったよね、勝者が誰だったのか。
期待値の問題
もともと、『二月の勝者』は要素の多い作品でした。
中学受験にしても、講師、塾経営者、親、子と、各ステークホルダーの視点が網羅されていて。中学受験というテーマ以外に、子供の貧困、教育の不平等、教育虐待など、教育や福祉の社会問題がわりと広く描かれていて。
それらが最終回に向けて、順に整理されながら畳まれていくわけなので。
私は、「受験に挑む子ども」(+応援する大人)を見たくてこの漫画を読んでいたのですが、テーマが他にもあるんだから、まあ仕方ないよね。
よかったところを書いていく
で、今回、感想は2部構成にすることにしました。
第1部の今回は、光のレビュー。よかった!と思うところを書いていきたいと思います。闇の部分は次回に…
基本は21巻だけど、今まで言及してこなかったそれ以前のエピソードもちょっと混じります。
①藤原くん & 本多さん、合格おめでとう
御三家にすんなり合格した2人。
あ、光の… といいつつ、ここちょっとブラック入ります。
御三家とはいえ、武蔵、雙葉あたりなら、あっさり合格させてもいいよね、と思った? 合格はこの辺のモブ優等生に担当させて、メインキャラの不合格たっぷり描くぞー! と思った?
って、疑うくらいに、ほとんど描かれなかったΩの面々。
全勝担当の藤原くん、本多さん! 麻布ダメだったけど、3日の早米田をとった村上くん! 正直、藤原くんだと思ってた子が武蔵残念の黒田くんだったりして、顔も良く分かっていませんが… 黒田くんも。
(ちなみに黒田くんは、三宿学園と城聖は合格だけど、4日、5日は受けなかったのかな? 全落ち回避の理依沙ちゃんと原くん、補欠ラッシュと中等部でそれどころじゃないって? そっか! )
おめでとう!!
結局、私が一番感情移入できるのは、Ωクラスの別学志望の皆なのですよ。優秀層でくくられてしまったけど、もう少し彼らを個別に見たかった。
②リアルに返り咲いた祝賀会
講師の応援は、直近の2024年でも復活していませんでした。よね?
でも、祝賀会は復活しました! 「圧倒的リアル」に返り咲きですね(←油断すると出てくるブラックみ)。
でも、子どもたちのいかにもな会話も、本当にリアルでした。息子もこんな感じで、ワイワイ楽しんだんだろうなー、とほほえましく読みました。先生たちもはっちゃけどころでしたね。
最後の黒木先生の挨拶もよかった。久しぶりに、敏腕講師っぽいところを見られてよかったです。
一方で、コロナ禍まっさかりで受験を終えた娘には、こういう修了イベントがなかったのは本当に残念だったな、と改めて思いました。長くお世話になった先生も1人は途中で退職、1人は直後に転任。区切りがつかないまま中学に進んでしまった気がします。(それで反抗期に拍車がかかったのかも、と言いたい)
娘の闇落ちエンド
第1志望の不合格で闇落ち?受験終了と同時に反抗期突入【暗黒の中学受験】│まわらないドットコム (mawaranai.com)
あと個人的には、本多さんが青鋼塾に通いそうな感じがよかったです。
③佐倉ちゃんのストップモーションエンド
個人的に、こういう「ピタッ」「スパッ」と終わるラスト、大好きです。舞台っぽい終わり方というか。今回はひとコマで落ちた感じが、落語っぽいですかね。映画でいえば、ストップモーションで終わる感じです。
漫画では珍しいかもしれません。最近私が読んだ漫画だと、『僕たちがやりました』の終わり方も「スパッ」「ヒエッ」でよかったと思います。
と、よかったところを挙げてきましたが、ここまでは前座です。私が最高によかったと思うところは…
推しがよければ全てよし
まず終わってみて、私の推しは、前田花恋ちゃんだったことを自覚しました。
負けん気が強いトップ女子代表。
桜花では島津くんの存在により、トップ2に甘んじていた花恋ちゃんですが。(実際の塾でもトップは男子が多いし、いいんだけど。両親医師でお前も理系だろ!って思いながら応援してた)
痛いトップ女子、花恋ちゃん
花恋ちゃんは、この位置にいる女子にしては珍しく、精神的に幼くて、「それはどうなの」という行動や発言をしがち。言ってしまえば、作中一の痛いキャラに仕上がってます。
でもその分、個性が際立つキャラでもあります。
特に終盤、試験と合否結果がフォーカスされて、子どもたちのキャラクターがぼやけていく中で(ブラック定期)、花恋ちゃんだけが輝いていた気がします。
1月の幕張に落ちた花恋ちゃんは、見事に第一志望の桜蔭に合格し、2日は吉祥寺女子合格。そして3日には星取りのために(桜蔭合格発表後)豊島園女子を受験して不合格。4日にリベンジを果たすわけです。
花恋ちゃんの成長を想像できるエンド
そして、受験後。
合格を手にして調子に乗りまくる役が、他でもない花恋ちゃんに回ってきました! いいよいいよ~。
しかし、すぐに大学受験に向けた競争がスタートしたことに気づいて苦しくなる。翌日、何かを求めて黒木先生から出された「宿題」の提出を口実に(私はすっかり忘れてて、検索かけて読み直しました)、桜花へ。そして佐倉ちゃんとともにスターフィッシュを訪ねて…
ラストでは、スターフィッシュの主戦力になり、ショーマの後輩のOK生になったことが明かされています。これ、私はOK医学部だと思ってます。
花恋ちゃんはパワフルさはそのままに、広い視野をもって社会に貢献できる女性になっていくだろうと想像できます。成長エンド!熱い!
私は、これだけで浮かばれました。今まであーだこーだ言ってきた自分が、光の中に溶けていくのを感じる…
だがしかし! 次回、闇のレビュー!