「二月の勝者」漫画:リアル小学6年生親の読み方、今後の予想(ネタバレなし)

漫画『二月の勝者』。

存在は知っていたけど、漫画でまで現実を見たくない…と特に興味を持っていませんでした。

でも、先日、子どもが中学受験をしている友人と話したとき「夫婦でめちゃめちゃ読んでる」と聞き、それなら…と読んでみました。(我が家の漫画本はすべて封印されているので、電子書籍で)

面白いなー。現役で中学受験に関係している私としては、「中学受験あるある」が面白いけど。それだけじゃない魅力があると思います。

というわけで『二月の勝者』、リアル小学6年生親はこれをどう読むべきなのか。まとめてみました。

講師、親、子ども、入り込みすぎない絶妙な視点

主人公は新人講師の佐倉(女)。中学受験経験者でもない、いわゆるド素人という位置づけで、中学受験の”常識”やノウハウを吸収していく立ち位置。彼女を中心にした視点が、ニュートラルですごくいいんですよね。

佐倉ちゃん自身が真面目で素直な頑張り屋で、しかも体育会系&算数担当講師というバランス型で、好感度バツグンです。

そして佐倉ちゃん、中学受験の構造や講師のやり方、おかしいところにはちゃんと憤ってくれて、子どもは本気で応援してくれます。

リアクションは全部、佐倉ちゃんにお任せ。読者(私)はモヤモヤしたり、ツッコミ入れたりするする必要なし。何の心配もなく読める、親切設計です。

全力で全員の子どもを応援して、泣き笑いする

細かいリアクションは佐倉ちゃんに丸投げして、読者(私)は何をするかというと、子どもたちの応援です。

中学受験だと普段、よその子を応援するってことありません。一緒にがんばろうね!って言ってるお友達はいますが、具体的な内容はよく知らないし、テストしてるところも見えないから、そこまで。

でも、子どもを応援したい、しまくりたい、よその子でもいい。そういう基本的欲求が親という生き物にはあると思います。運動会でも気が付けばよその子も応援してるし、サッカーの試合ではチームメンバーはもちろんのこと、たまに相手のことまで応援しちゃうし、鬼滅を見れば炭次郎を応援しちゃうし。

『二月の勝者』の舞台である桜花ゼミナール吉祥寺校の6年生は、クラスが3つに分かれていて、偏差値40台から65超まで、30人位の子どもが出てきます。交代で色んな子(親にも)にスポットライトが当たり、ひとり一人の具体的な状況や悩みどころを描いてくれます(全員じゃないけど)。

トップ校を目指す子の話はやはりドラマチックですが、そうじゃなくても勉強する子どもの横顔のコマでも泣きそうになります。あと、がんばれてないところを描かれてる子も、塾にも通ってるしその子なりにがんばってる。泣ける。

応援欲求が満たされまくりですよ。

JG受験女子も全力応援ですよ。

黒木校長の言うことは、絶対!

父親の経済力、母親の狂気」「2月1日本番その日まで学力は伸びる」など、数々の名言を放っている桜花ゼミナールの黒木校長先生

リアルの塾の校長先生の言葉も、説得力があります。漫画の中の元カリスマ講師の超人校長の言葉なら、それはもう絶対です。

でも一番リアルに心に響いたのは、「私に子供がいたとして、ぜひとも御三家に入れたいと思ったら、絶対にフェニックスに入れます」(セリフはうろ覚え)という言葉だったりします…。フェニ。もちろん、サピのことです。

そういえばWebのどっかの掲示板で、

なんで御三家に入れたいのに、サピ以外の塾に入れるのですか?

という質問を見たことあります。なんででしょうね!?

とにかく、中受生の親には、入試の日までに3回クライシスが来るとか、その1回目の11月には物理的にも時間が足りないとか。あと今、発売したばかりの13巻では12月で、当日の服装とか細かい心得も黒木校長がレクチャーしてるんですが。

多少デフォルメされてるかもしれないけど、具体的に参考になる情報がいっぱいです。リアルの校長とどっちに言われたのか、こんがらがってくるくらい…

2022年2月、一緒にフィナーレを迎えられるかもしれない

年末に14巻が出る予定になっていて、内容は1月の直前期&前受け受験。

一方、この10月からドラマが始まっています。(今、我が家は録画機能がダメになってて、夜その時間にテレビをつけられるわけもなく、見られないけど、本当は見たいです…)

ドラマの中で、誰が2月の勝者になるのか、明らかになるのか?

そこに合わせて、漫画も2月の結末まで描かれるのでしょうか?

ちなみに『二月の勝者』はスラムダンク方式で、リアルの時の流れとはリンクせず、ゆっくり進む漫画です。桜花ゼミナールの6年生たちは、かれこれ3年くらい6年生やってます。でも最後はリアルに、2月に揃えてくるんじゃないかな?という、淡い期待を抱いています。

いかに丁寧に子どもたちの受験を描いても、このまま1年は引っ張れないだろうから、中途半端な季節に「二月」を描くより、ドラマでも注目されているこの冬に、最後まで描き切るんじゃないかな。一緒に、結果に一喜一憂したい!

舞台は吉祥寺。固有名詞の雑なぼかし具合がいい!

あと思ったのですが、東京、神奈川以外はそもそも受験は「二月」じゃないですね。

『二月の勝者』の舞台は東京西部の街、吉祥寺です。千葉、埼玉、神奈川に通学しにくい土地。東側だと千葉県、南側だと神奈川県、北側だと埼玉県が通学圏内に入って来るので、話をシンプルにするためにも吉祥寺がベストだったのでしょう。という、「二月」。

そしてウチも千葉も神奈川も遠く、埼玉でもギリギリ…埼玉の前受け校のみの合格になったら、引っ越そうか、と言っているところに住んでいます。『二月の勝者』に出てくる学校はすごく親しみがあります。

新宿学園新宿、有栖川学園、海上、園学院、東央、明大名知、中庸大附、日照大第二、武蔵境大学… 学校名はこんなふうにいじってありますが。この、あえての雑さ具合がうまいんですよね。小石川→大石山とか、立川→座山とか。普連土→馬武立(まぶだち)…は分からなくてググってしまいました。

この辺を推測しながら読むのも楽しいのですが、漫画に登場する学校の全部が、リアルに対応してるわけじゃない、モデルがない学校もある、といわれています。

塾もそうです。そもそも、四谷大塚が「渋谷大崎」になってるのがツボ。早稲アカは早馬塾、NNはZZとして出てきます。この辺の話、娘の塾の漫画好きの先生も話題にしてるらしい。

作中の桜花ゼミナールは校舎の合格者数に応じた歩合制、などというお金の話も出てくるので、子どもNGでは? と私もはじめは思ってました。でも、先生が話題にしてるならOKだな。娘の塾でも読んでる子もちらほらいるらしい。ウチは漫画を少しでも許すと何かが決壊してしまうので、今は絶対に娘の目に触れさせることはありませんが。

そうじゃなければ親子で楽しめる漫画だと思います。

リアル小学6年生親の読み方と題して書き始めましたが、まとめると「電子書籍でこっそり読む」ってことになるのかな。ウチの場合。

がんばります…。

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